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リスクアセスメントとは

「リスクアセスメントとはなにか」

職場の潜在的な危険性又は有害性を見つけ出しこれを低減、除去するための手法です。
このリスクアセスメントは労働安全衛生マネジメントシステムの指針の
「危険性又は有害性の調査及びその結果に基づき講ずる措置」にあたります。
リスクアセスメントは労働安全衛生マネジメントシステムの一環であるが、1番大切なことでもあります。
日本では労働安全衛生法改正により、2006年4月1日からほとんどの業種で努力義務化となりました。

T.労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)

まず、リスクアセスメントの前に労働安全衛生マネジメントシステムから説明します。
労働安全衛生マネジメントシステムは1999年に公表されたものになります。 事業者が労働者の協力の下に「計画-実施-評価-改善」という一連の過程を定めて継続的に行う自主的な安全衛生活動を促進することにより、労働災害の潜在的危険性を低減するとともに、労働者の健康の増進及び快適な職場環境の形成の促進を図り、事業場における安全衛生の水準の向上に資することを目的とする。

5安全.com的に翻訳すると
組織は、個人と協力して仕事場での物や環境に隠れている危険性・有害性を減らすように継続させ、個人の健康の増進及び快適な職場環境を形成できるように集団でコニュニケーションを図って行動することである。 簡単に言うと、 組織=個人=集団の関係を継続して物、環境を判断して行動する。その結果、楽しく安全に仕事ができる。

U.労働安全衛生マネジメントシステムに係る国際的背景

@国際標準化機構(ISO)の動き
1996年
安全衛生マネジメントシステムの国際ワークショップを開催する。
1999年
安全衛生マネジメントシステムの国際規格化の検討をする。
Aイギリスの動き
1991年
成功する安全衛生管理の指針を公表する。
1996年
安全衛生マネジメントシステムの規格(BS8800)を公表する。
Bアメリカの動き
1982年
自主的に安全衛生管理プログラムを開発し導入する。
1996年
独自の安全衛生マネジメントシステムを開発する。
1998年
労働安全プログラム基準を検討する。
C日本の動き
1996年
中央労働災害防止協会が安全衛生マネジメントシステムを策定する。
1999年
労働安全衛生マネジメントシステムの取り組みを報告する。

この国際的背景を御覧になってもらうと分かるようにイギリスは国際標準化機構が安全衛生マネジメントシステムを検討する5年前に安全衛生管理の指針を公表している。アメリカに至っては14年前から自主的に安全衛生管理プログラムを開発している。しかし日本はどうでしょうか? 国際標準化機構で安全衛生マネジメントシステムのワークショップが開催されてから労働安全衛生マネジメントシステムの取り組みをする。日本は世界から比べても安全意識が低い国と考えられます。

W.リスクアセスメントの必要性

従来の労働災害は、発生したらその調査をし再発防止のために職場に徹底するスタイルでした。しかし、災害が発生していない職場にも必ず潜在的な危険性や有害性が存在していて、これを放置すると労働災害が発生する可能性になります。近年は多種多様な機械設備や化学設備が生産され、危険性や有害性が多様化してきています。それなので自主的に潜在的な危険性や有害性を見つけ出し、労働災害が起きる前に対策を講じることが不可欠となります。

X.マーフィーの法則

この法則の中に
@水平な平面には、すぐに荷物が積み上げられる
A悪い状況は、放置しておくと、なお悪くなる
B失敗する可能性のあるものは、必ず失敗する
Cすべての偉大な発見は、間違えをきっかけとしている
と言う言葉が記載されています。
この言葉は5安全.comではこのように考えます。
@何も置かれていない場所に人は物を置きたがります。
  何も置かれていない状態なら倒れてくる心配はありません。
⇒そこに物を置かれては困る時は表示すればよい
A後で整理・整頓しようと思っているとなかなかしないものです。
  綺麗になっていれば人は落ち着いて移動できます。
⇒5S運動の習慣をつける
注)5S運動とは、整理、整頓、清掃、清潔、しつけのこと
B危険性又は有害性を失敗する可能性に置き換えられます。
 普段の生活や仕事での安全知識が必要です。
⇒5安全.Comのサイトでたくさんの知識を学んで下さい。

人間は、雨の日は床が滑りやすいという事を教えていれば滑る可能性があるという知識を学びます。しかし、知識を学んでも意識をしないとケガをします。マーフィーの法則Bだと意識しても可能性があるなら必ず滑ります。安全意識を高く持っていれば滑ってもすぐに対処でき大きなケガはしないものです。

Y.リスクアセスメントの方法

リスクアセスメントの手順
@危険性又は有害性の特定
A危険性又は有害性のリスクの見積もり
Bリスク低減のための優先度の設定、リスク低減措置内容の検討
Cリスク低減措置の実施
D実施内容の記録

例)冷蔵庫へのリスクアセスメン

@危険性又は有害性の特定
冷蔵庫の例
冷蔵庫に支えが無いので地震が発生して倒れてくる。
冷蔵庫2

(〜なので〜して〜になる、という形式で短めに書く)



A危険性又は有害性のリスクの見積もり
危険性又は有害性のリスクの見積もり
設定をします。
@=10、A=10、B=10

Bリスク低減のための優先度の設定、リスク低減措置内容の検討
リスク低減のための優先度の設定、リスク低減措置内容の検討
優先度=@+A+B=10+10+10=30
⇒地震が起きても倒れないようする。

 

Cリスク低減措置の実施
冷蔵庫の例 冷蔵庫の上に突っ張り棒を設置して固定する。
冷蔵庫対策 対策後の数値を設定します。
@=10、A=1、B=10
優先度=10+1+10=21となります。
優先度の数値が下がったことになります。
そしてここからが1番大切になり、リスクアセスメントを勘違いしている内容になります。 以上をすべて踏まえて、安全に作業が出来るように作業手順を作成します。 要は、リスク低減された手順書になります。

 

D実施内容の記録
@〜Cまでの内容を記録として保存しておく。

このように難しく考えて実際に行うのは面倒だと思いませんか? そもそもリスクアセスメントとは、世界で定められた労働安全衛生マネジメントシステムの一環であります。 しかも現在ではほとんどの業種で義務化されているにも関わらず行っていないのはなぜでしょう? 5安全サイトはこれらを分かりやすく、継続的に行えるように簡単な事からはじめてもらおうと思っています。